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・『きっびす』木佐悠弛


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2013年12月24日(火)
【連載】きっびす(2)「クリスマスローズ・イブ」

[・『きっびす』木佐悠弛]


【連載】きっびす(2) 木佐悠弛


クリスマスローズ・イブ

つぼみが花ひらく瞬間をみるのはおもしろそうだ、とはおもうけれど、
そのまえにわたしが枯れてしまいそうだな、
ともおもう。

今夜はクリスマス・イブ。
ほんとうはふたりですごす予定だったけれど、
彼は年末で残業つづきの毎日。

ごめんね。この埋め合わせはきっとするから。
そうメールが来たのはおとといのこと。

わたしはひとり、大学通りの花屋に来た。
いちばん買いたくないとおもっていたけれど、
けっきょくこの花を手に取っていた。

クリスマス・ローズ。

もえるような赤がわたしのきもちとかさならない。
出窓にかざってみて、なんで買っちゃったんだろう、
とわたしはおもう。

音もなくイブの夜がすぎていくのを待てなくて、
なんとなく音楽をかけてみることにした。
CDケースには、ほんらい入っているべきはずのものがなくて、
かわりに山下達郎のクリスマス・イブのCDがなぜか入っていた。

こういう夜なんだな。
望んでもいない運命をおもってみる。

Silent night, Holy night

ゆかにぺたりと座ってしずかにきいていたはずが、
いつしかわたしは眠っていた。

かぜひくよ。
夢のなかで彼がいう。

うーん、と目をこすりながらからだを起こすと、
うすびがさしこんでいた。
「かぜ、ひくよ」とうしろからこえがする。
彼がいた。

「おそくなっちゃったけど、メリークリスマス」
そういう彼の手には、クリスマスローズ。

「もう、もってるよ」
そういいながら、わたしは出窓にふたつめのクリスマスローズをならべる。

赤いろが、ろうそくの火のようにほのかにゆれた気がした。







<作者プロフィール>
木佐悠弛 (きさゆうし)
国立市在住
アーティスト、と名乗ってみたい、宇宙の流浪人。
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[ameblo]







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