【連載 - 44】国立ランブリング
さよなら、ロータリー
小山伸二
どぎついオレンジ色の花が
夜のロータリーで
ぐるぐるまわっている
ひとりずつ居なくなるゲームはつづく
繰り返される嵐
バラモンの呪文を唱えると
秋の門が開く
シナモン、カルダモン
それでいいもん
賢い世間を敵にまわして
やりたいことが見つからないんだ
昨日までのことを始末しても
ニュースがうるさい
ぐるぐるまわる記憶の喪失
葬列を記述してきたノートも
いまは破り捨てた
天使を燃やした花火師の
二の腕の彫り物さえ懐かしい
季節を脱いで衣をかえる
書をたしなんだ
茶を点てるひとの秋
言いたいことは言えばいいんだ
沈黙のひとの横顔は
憎らしいくらいに淋しい
ぐるぐるまわれよ
どぎついオレンジ色のロータリー
湿気をおび
つめたい風に揺れろ
生きてるかぎりが
ぬれた瞳になって
世界を
きみのことを
いつまでも見つめつづけろ
◎国立ランブリング「創作ノオト」
この惑星のなかの国立駅前ロータリー。
ぐるぐるまわる季節。
朝に、昼に、夜に。
ぼくたちもぐるぐるまわる記憶のノートをときに破り捨てながらも、生きている秋なんだ。
バックナンバー
【プロフィール】
小山伸二 (おやま・しんじ)
国立在住。詩人。福間塾に参加。
最新詩集『きみの砦から世界は』(思潮社・刊)
『きみの砦から世界は』(思潮社)
作品集
クラウドナイン cloud nine
小山伸二と清水美穂子による詩と写真のコラボユニット。
「クラウドナイン」公式FB
ページ
国立情報WEBマガジン くにたちハッピースポット
http://kunitachi.happyspot.jp/
https://www.facebook.com/kunitachi.happy.spot
[