【連載-32】国立ランブリング
アブラカダブラ 小山伸二
六月の雨にうたれて
ぜんぶ消えてしまえばいいんだ
恋人をうしなった夜も朝も
出がらしのコーヒーに
じゃぶじゃぶお湯をぶっかけて
濡れた地面でダンスしよう
海からも遠く
山も川も霞んで見えないよ
どんづまりの箱がたらたらと
西に向かっている
父の日に手紙を書いのは誰だっけ
ドア付近に陣取っている
女の子ふたりがはしゃいでいる
ガマガエルみたい
カレー屋の男がチラシを配ってる
ぐるぐる旋回する駅前
鼻の頭に汗
躓いた年寄りに
小学生がぶつかってあぶないね
紫陽花まで飛び散ってしまう
手のひらのなかの魔法
古代の呪文
アブラカダブラ
アブラアセ
アブラカダブラ
アブラアセ
こんにちは、ジャスミンさん
蒸し暑いこんな日には
駅前の八百屋で買い込んだ
茗荷をざくざく刻んで
うす切りセロリをたっぷりそえて
鰹節をぶっかけよう
六月の雨
恵みの雨よこの町を
しっとり濡らして育てておくれ
アブラカダブラ
アブラアセ
アブラカダブラ
アブラアセ
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◎国立ランブリング「創作ノオト」
どからともなく聴こえて来る蛙の合唱。
その歌に誘われながら、雨の国立をちゃぷちゃぷランブンリングする
そんな6月です。
国立市公民館の「詩の会」の6月の課題「汗」で書いた詩をベースに
ランブリング風に盛り付けをかえて、ここに。
うっとしい露、じめじめして気持ちわるい汗をかきながらも、
せめてココロはスキップしながら、魔法の呪文を唱えてみよう。
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【プロフィール】
小山伸二 (おやま・しんじ)
国立在住。詩人。福間塾に参加。
最新詩集『きみの砦から世界は』(思潮社・刊)
『きみの砦から世界は』(思潮社)
作品集
クラウドナイン
cloud nine
小山伸二と清水美穂子による詩と写真のコラボユニット。
「クラウドナイン」公式FB
ページ
国立情報WEBマガジン くにたちハッピースポット
http://kunitachi.happyspot.jp/
https://www.facebook.com/kunitachi.happy.spot
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