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・国立ランブリング


【連載-48】国立ランブリング「冬の旅から」小山伸二

【連載 - 47】国立ランブリング「聖夜」小山伸二

【連載-46】国立ランブリング 「さようなら」小山伸二

【連載 - 45】国立ランブリング 「黒曜石」小山伸二

【連載-44】国立ランブリング「さよなら、ロータリー」小山伸二

【連載 -43】国立ランブリング「八月の雨よ、この町を濡らせ」小山伸二・作

【連載-42】国立ランブリング「雨降りカレー」小山伸二

【連載 - 41】国立ランブリング「五月の階段」小山伸二

【連載 - 40】国立ランブリング「天使」小山伸二

【連載 - 39】国立ランブリング「三月に、さよなら」小山伸二

【連載-38】国立ランブリング「逃げる二月をつかまえて」小山伸二

【現代詩 連載-37】国立ランブリング「王様のガレット」 小山伸二

【連載-36】国立ランブリング「聖夜」小山伸二

【連載-35】国立ランブリング「十月のひと」小山伸二

【連載-34】国立ランブリング「九月の地下鉄」小山伸二

【連載-33】国立ランブリング「夏のランブリング」小山伸二

【連載-32】国立ランブリング「アブラカダブラ」小山伸二

【連載31】国立ランブリング 「皐月、サヨナラ。」 小山伸二

【連載-30】国立ランブリング「鉛筆で詩を書くひとは」小山 伸二

【連載 - 29】国立ランブリング「さようなら、三月」小山 伸二

【連載-28】国立ランブリング 「二月二十九日の国立で」小山伸二

【連載 - 27】国立ランブリング「空で待ってるんだ」小山伸二

【連載-26】国立ランブリング「ひかりの橇で」小山伸二

【連載-25】国立ランブリング「この十一月に乾杯を」小山伸二

【連載24】国立ランブリング「ファニーな十月を」小山 伸二

【連載23】国立ランブリング「ランブリング、九月」小山 伸二

【連載 22】国立ランブリング「夏のグラウンド」小山伸二

【連載 (21)】国立ランブリング「百年の夏に」小山伸二

【連載 S】国立ランブリング 「六月のランブリング」小山伸二

【連載R】国立ランブリング「フェルナンは」小山伸二

【連載Q】国立ランブリング 「花過ぎる、四月」小山伸二

【連載P】国立ランブリング 「くにたち三月」小山伸二

【連載O】国立ランブリング 「逃げる二月」小山伸二

【連載N】国立ランブリング 「冬の匂い」小山伸二

【連載14】現代詩 国立ランブリング「なんて素敵な世界なんだろう」小山伸二

【連載L】国立ランブリング「ランブリングする十一月」 小山伸二

【連載K】国立ランブリング「十月の記憶」小山伸二

【連載J】国立ランブリング「九月の町を歩く」小山伸二

【連載I】八月のランブリング 小山伸二

【連載H】国立ランブリング 「雲を育てる七月よ」 小山伸二

【連載G】国立ランブリング「紫陽花」小山伸二

【連載F】国立ランブリング「五月の町に挨拶を」小山伸二

【連載E】 国立ランブリング アフターウインター 小山伸二

【連載D】国立ランブリング たくらみの二月 小山伸二

【連載C】国立ランブリング 冬の旅人 小山伸二

【連載B】国立ランブリング 十二月がやって来た 小山伸二

【連載A】国立ランブリング 十一月に  小山伸二

【 国立ランブリング (1)】 秋が来た








2016年04月30日(土)
【連載-30】国立ランブリング「鉛筆で詩を書くひとは」小山 伸二

[・国立ランブリング]

国立ランブリング


【連載 - 30 】国立ランブリング




鉛筆で詩を書くひとは     小山 伸二


鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
中央線で西にむかって
麦畑につづく道に迷ってしまい
途方にくれて四月の雲を眺めるひとだ


鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
死んだ恋人が忘れられなくて
来る日も来る日も
記憶を茶筅でかき混ぜるひとだ


遠い故郷の防波堤のうえを
ぼくは全速力で走った
潮風を全身であびるために
居なくなったひとに会えるかもしれない


子犬たちを連れて散歩に出たまま
それっきり帰って来ない
歌のなかのひとを思って
きょうの午後にギターを弾いてみる


鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
ゲームに夢中になって
高尾山口まで乗り過ごすこどもたち
きみの敵だけは見失わないでね

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
公園前のレストランで
野菜と肉を食べて

さっと恋人の手をにぎるひとだ


革命も戦争も災害もわれ関せずで
明月を昂然と凝視したひと
四月の読書は昼寝とともにある
みどりの風をこの胸に呼びこむために


ひどい鬱病から立ちなおった
「旅人かへらず」を読み継いだひとは
隣の部屋に駆けこんだ
画家のファーストネームを知りたくなって


鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
大地震のあとで
デジタルの砂嵐のなかを走る

危ういネットサーフィンをつづけたひとだ


鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
三月がすぎ、四月もすぎる
咲き残る小花が胸につきささっても
歌うことを忘れないひとなんだ






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国立ランブリング「創作ノオト」

四月の花も遠ざかっていく。

ちびた鉛筆を引っ張り出して、記憶の器をくるくるかき混ぜる。

さようなら、四月。

いろんなことがあった、四月に、さようならを。

咲き残った小さな花たちを胸にかざって。

さようなら、四月。




バックナンバー
クラウドナイン

【プロフィール】
小山伸二 (おやま・しんじ)
国立在住。詩人。福間塾に参加。
最新詩集『きみの砦から世界は』(思潮社・刊)
『きみの砦から世界は』(思潮社)

作品集



クラウドナイン cloud nine

小山伸二と清水美穂子による詩と写真のコラボユニット。

「クラウドナイン」公式FB ページ








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