【連載
- 29
】国立ランブリング
さようなら、三月 小山 伸二
花のかげにすわりこむ
ひとのいる大学通り
足もとをみつめるこども
そぞろ歩くひとたちの声がきえていく
風がまだ冷たい三月に
あまりにたいせつなものを失った
声が見えなくなった
空を見ても
なくなったものの
影がきえてしまった
しろく
あかく
きいろく
春の咳が
ひとつ
ふたつ
みっつと響いている
ベンチに読みさしの本を置いて
すこし歩いてみようか
樹に咲く花は淋しい
ここにいないひとを思い出させるから
いないひとの本を
読むぼくたちの淋しい三月
たいせつなひとを失ってしまった
三月がきえる
ひとりは
ひとりでしか
歩いて行くことができない
きみも、ぼくも
この町で
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
◎
国立ランブリング「創作ノオト」
もう四月がやって来たというのに、
やっと三月の詩を
アップしました。
今年は、三月から四月にかけて、国立に居ることがで
きず。いまごろ、咲き誇っているさくらも見ないまま
です。
さて。ぼくたちの町の三月。
いろんな方が大切な方を見送った三月でもありました。
詩になにができるんだろう。
ぼくが書く詩になにができるんだろう。
そんことを思いながら、ぼくの三月のランブリングが
つづきます。
今月の詩は、帰れなかった大阪の部屋から見上げる三
月の空です。
この空は、国立の空につながっているは
ずです。
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【プロフィール】
小山伸二 (おやま・しんじ)
国立在住。詩人。福間塾に参加。
最新詩集『きみの砦から世界は』(思潮社・刊)
『きみの砦から世界は』(思潮社)
作品集
クラウドナイン
cloud nine
小山伸二と清水美穂子による詩と写真のコラボユニット。
「クラウドナイン」公式FB
ページ
くにたちハッピーマーケット2016 さくら市
2016年4月9日開催!
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主催:国立情報WEBマガジン くにたちハッピースポット
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