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・くにたち本まわり 十松弘樹


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【連載】国立本まわり〈2〉山口瞳『行きつけの店』後編 十松弘樹

【連載】国立本まわり〈2〉山口瞳『行きつけの店』(新潮文庫)・前編

【新連載】くにたち本まわり@ 『居酒屋兆治』を歩く








2014年07月03日(木)
【連載】国立本まわり〈2〉山口瞳『行きつけの店』後編 十松弘樹

[・くにたち本まわり 十松弘樹]
山口瞳『行きつけの店』
前編 よりつづく)


【連載】くにたち本まわりA
山口瞳『行きつけの店』 (新潮文庫) ・後編  十松弘樹

山口氏の没後、
これら「行きつけの店」が一堂に会したことがある。


1997年。山口氏の三回忌記念に
谷保天満宮梅林に建立された
山口瞳文学碑 」の建立記念式典でのこと。

式典の後、天満宮参集殿(と言っても拝殿脇の豪華なものではない
甲州街道際の駐車場に面した木造の古色なもの)で催されたパーティー。
通常の仕出屋のケータリングを頼まず、
市内にある山口氏の行きつけの店からの出前を頼んだのだ。

山口瞳『行きつけの店』
三小通りの画廊エソラ(喫茶・キャットフィッシュ)

文蔵のモツ焼き、
繁寿司の寿司 を筆頭に、
「王将」の場所にあった 蘭燈園(らんたんえん)の中華料理
そば芳の「あげそば」、
ロージナのサンドウィッチ
押田の「う巻き」、
キャットフィッシュのコーヒー (後述)などなど。
それら山口氏の愛した味に舌鼓を打ちながら山口氏を偲んだ。

さらに言うと、
この文学碑建立の世話人代表は
「旅の友・ドスト氏」こと木彫家の 関頑亭 氏。
そしてその弟で石彫家の
関敏 氏(天満宮の座牛や駅前ロータリー時計塔の作者)が
文学碑をデザイン・制作 した。
造園は山口氏がその腕と朴訥な人柄に惚れ込んだ
谷保の「植繁」の親方だった。
山口瞳『行きつけの店』
谷保天満宮梅林の「山口瞳先生文学碑」。
台座が「山」の字、本体が「口」の字を表しているのはあまりに有名。



そしてこのプロジェクトの事務局を務めたのが、
水彩画が玄人はだしだった山口氏が
「専属の画商」「第二の応接間」として愛した
画廊「エソラ(=喫茶・キャットフィッシュ)」 店主。


それに、そもそも谷保天満宮じたいが
山口氏がこよなく愛した場所で、
今も残る梅林の築地塀は山口氏らが中心となって寄進したものだ。


とこのように「 文学碑建立 」というプロジェクト自体が、
山口氏の「行きつけ」の店や人によって為されたものだったのである。
参拝、散策の折にはぜひお立ち寄りいただきたい。


当然ながらこの文学碑は市内を中心とする
山口氏を愛する人々の寄付によって建てられた。
僕も国立の人間だから誤解を恐れずにあえて言っちゃうけど、
国立の人はケチ、もとい、財布のヒモもがかたいとよく言われている。
曰く
「口は出すけど金は出さない」、
「口は開くけど財布は開かない」と。
ところがこの時はお金が集まりすぎたそうだ。
文学碑をつくって余った浄財で鋳物製のミニチュア(文鎮)を作って
出資者に記念品として贈呈されたくらい。
使うべき時は使うのである。
山口瞳『行きつけの店』
文学碑裏の銘板。こんな意外な人の名も。

山口瞳『行きつけの店』
でも国立の人が中心。こんな大物から・・・・。

山口瞳『行きつけの店』
こんな小物まで。

山口瞳『行きつけの店』
鋳物製のミニチュア

没後19年。山口氏の本は手に入りにくくなったものが多い。
でもこの本は新潮文庫で健在。
増田書店でも現物を確認した。
山口瞳『行きつけの店』

新潮文庫版・767円(本体)


「私は国立市を永住の地としようと思っている。
おそらく女房も同じ考えでいると思う。
いや、もし、この町をでていこうとしたら私が言い出したら、
女房は顔面蒼白になって抗議するだろう
(〈国立 谷保の文蔵のモツ焼キ〉の章より)
こんな思いで国立に暮らした山口氏の本。
国立に住む方々にはぜひお読みいただきたいと思う。


追記 お勧めしたい副読本がある。
山口瞳氏の長男で映画評論家の
山口正介氏が著した『 山口瞳の行きつけの店 』。


父が愛した店々を再訪している。
没後12年の2007年に出版された。
生前はあえて「常連店」を共有しなかったという二人。
父と息子ならではの「照れ」が好ましい本。
山口瞳『行きつけの店』

山口正介『山口瞳の行きつけの店』(武田ランダムハウス)


さすがに書店では入手しにくくなっているけど、
中央図書館、東分室、北分館、公民館にある。
もちろん当 ギャラリービブリオ にも。
こちらもお勧め。
ギャラリービブリオ
ギャラリービブリオの「山口瞳コーナー」。約120冊。
ちなみに本棚は大学通りの金文堂で昭和30年ごろ買った「国立アンティーク」。




追記の追記 
山口氏は名筆でも知られる。
その揮毫は上記「エソラ(=喫茶・キャットフィッシュ)」、
「うなぎの押田」の他、
和菓子「青木屋」等で見られる。
実はギャラリービブリオにもある。
複製だけど、山口氏の書のある渋団扇。
山口瞳『行きつけの店』

7月4日(金)〜7月13日(日) に開催、
国立ゆかりの絵本作家・画家が
手描きうちわで大集合する
国立うちわ市 」にて特別展示する予定。

http://d.hatena.ne.jp/banka-an/20140527


【著者紹介】
十松弘樹 ==とまつひろき。
JPIC認定読書アドバイザー。
「書評のメルマガ」書評委員。
出版取次大手トーハンに勤続すること29年。
「新刊ニュース」「月刊書店経営」編集担当、
「人文図書目録」「歴史書目録」「国語国文学図書目録」等
各目録刊行会事務局担当などを経て独立。

国立駅前で「 ギャラリービブリオ
http://www.gbiblio.jp/ を経営。
学校法人小百合学園(小百合幼稚園)評議員。
国立駅前在住三代目。
今年11年目、毎日更新のブログ

「蕃茄庵日録」
http://d.hatena.ne.jp/banka-an/
は国立の老舗ブログのひとつ


≪バックナンバー≫
2014.5.25  くにたち本まわり@ 『居酒屋兆治』を歩く
2014.7.2   国立本まわり〈2〉山口瞳『行きつけの店』・前編





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