【三鷹】太宰治が愛した橋 伊藤次郎
伊藤次郎の中央線散歩(2)
青春の蹉跌に心惑わせたとき
太宰治の小説を読みふけった経験をお持ちの方
きっと多いことと思われます。
三鷹は、太宰治が終の棲家を構え
多くの傑作を世に送った街であることは
もはや云うまでもないことでしょう。
時は流れ、三鷹が都市化の波に翻弄されていく中で
太宰のいくつかの随筆に
「陋屋」(ろうおく)の名で登場した下連雀の自宅や
行きつけの飲食店などは、もはや跡形もありません。
そんな今、太宰ゆかりの地として、そのままの姿を留める数少ない場所が
中央線を横断するこの橋(跨線橋)です。
JR三鷹駅から、線路沿いを西へ歩いて約5分
中央線と車庫の線路を跨ぐ、古いレールで作られた鉄橋で
昭和4年(1929年)に架設されたものです。
太宰はこの橋をたいへん好み、三鷹へやってきた友人たちを
ここへ案内したといわれ、橋上にたたずむ彼の姿を捉えた
写真がいくつか残されています。
線路を行き交う汽車や電車を眺めながら
太宰の脳裏にあったのは、新たな小説の構想か
あるいは一本の線路で結ばれる、荻窪に住む生涯の師・井伏鱒二や
甲府から嫁いできた妻・美知子のことだったのでしょうか。
当時と全く変わらぬ橋の上にたたずみながら
太宰の思いを追想してみてはいかがでしょうか。
三鷹市内には、太宰ゆかりの品を展示する資料館
「太宰治文学サロン」もあり、併せての見学がおすすめです。
詳しくはこちら
公益財団法人 三鷹市芸術文化振興財団
太宰治文学サロン
http://mitaka.jpn.org/dazai/
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◇伊藤次郎
◇プロフィール
仙台出身。国分寺市の人情と自然に魅了され、2013年秋から在住
現在「地域通貨ぶんじ」「国分寺モリタテ会」企画メンバーとして活動中
中央線ハッピースポット Facebookページ
https://www.facebook.com/chuosenhappyspot
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