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・くにたち本まわり 十松弘樹


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【新連載】くにたち本まわり@ 『居酒屋兆治』を歩く








2014年05月25日(日)
【新連載】くにたち本まわり@ 『居酒屋兆治』を歩く

[・くにたち本まわり 十松弘樹]
『居酒屋兆治』を歩く
文庫の表紙。イラストは 山藤章二 画伯。
モデルは「文蔵」主人。そっくり。


【新連載】くにたち本まわり@
 『居酒屋兆治』を歩く    十松弘樹


はじめまして、十松弘樹(とまつひろき)です。
国立駅前で「本」をテーマとした画廊「ギャラリービブリオ」
http://www.gbiblio.jp/ を運営しています。
その日常活動は、国立市の図書館で開催中の
「こどもブックフェスタくにたち2014」の
「ポスターセッション〜ポスターによる市内読書団体の活動報告」
で詳しく報告しています。
中央図書館の階段ホールに掲出していますので、
お近くをお通りの際はぜひご覧ください。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さて・・・。


「国立」と「本」をキーワードにした雑談を、
との編集部のオーダーにお応えしての第一回は『居酒屋兆治』。
言わずと知れた国立に暮らし国立を愛した
作家・山口瞳氏(1926〜1995)の代表作のひとつ。



たった5坪の小さな居酒屋、その名は「兆治」。
過去に重い屈託を抱える律儀で純情で不器用な店主、
そして「兆治」に夜毎集まる
律儀で純情で不器用な名も無き人々の人間模様の小波や大小の事件を、
温かな目で描いた連作集。
「同志」とも言える賢妻を深く愛しつつも、
出奔中のかつての恋人の影に心揺れ動く主人公・・・。
人生というものは一筋縄ではいかない、
でも捨てたものではないことを教えてくれる。
居酒屋のカウンター越しに交わされる会話が
まるで音楽のように詩のように心地よく響く。



舞台は国立。
お店は谷保駅至近という設定。
登場人物のうち幾人かは実在の人物で、
「兆治」のモデルの店「文蔵」もつい先年まであった。
物語として文学としてのすばらしさいうまでもない。
それにプラスして作中描かれる30余年前の国立の佇まいがいとおしい。
「住民必読」と言い切ってしまっていいだろう。



新潮文庫に入っているが残念ながら版元品切れ。
古書店にはある。
5月11日時点でブックオフにはなかったが、
ギリギリ市境を越えて立川市の「いとう」には数冊あった。



言うまでも無いが図書館にはある。
ハードカバー、文庫、それに大活字本まで揃っている。
読みやすいハードカバーもいいのだが、

僕としては文庫版を強くお勧めする。
なぜなら巻末の安倍徹郎氏(脚本家)による解説が
軽妙かつあたたかく、物語の余韻をより高めてくれるからだ。



『居酒屋兆治』を歩く
映画のDVDパッケージ。
健さんの立ち姿のカッコイイこと。


そしてこの「居酒屋兆治」。
映画で知ったと言う方も多かろうと思う。
1983年の東宝作品で監督は降旗康男で主演は高倉健。
他に大原麗子、加藤登紀子。
これはもう映画史に残る名作であるのだが、
ここはひとつ1992年に作られたTVドラマをお勧めしたい。



と言うのが、
映画は物語の舞台を函館に移しているのだが、
TV版は原作に忠実に国立を舞台にしているのだ。
主演は「もう一人のケンさん」こと渡辺謙。
妻に桜田淳子、かつての恋人に美保純。
そして脚本がかつて文庫本の解説で
「いつか国立を舞台にドラマ化したい」と書いていた前出・安倍徹郎。


『居酒屋兆治』を歩く
ドラマのDVDパッケージ。
昭和の絵看板の風格。


かなり原作に近いので、物語のすばらしさについては繰り返さないが、
1992年の国立の風景が豊富に残されていることは強調しておきたい。
冒頭からして
桜咲き誇る三角屋根の駅舎前を自転車で走る渡辺謙。
他にも国立駅周辺、谷保駅周辺、天満宮周辺、

古民家周辺などでロケが行われている。
エンドロールに「国立市のみなさん」とあるように
山口さんと付き合いのあった国立の人々も多く出演している。
旦那衆の多くがフラッパーなスナックのママ役の

永嶋瑛子さんに悩殺されたことが
山口氏のライフワークエッセイ「男性自身」に遺されている。


『居酒屋兆治』を歩く
【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】オープニングの国立駅舎。


この20年で変わってしまったものも多くある。
まず第一が駅舎。
そして謙さんが川谷拓三にボコボコにされる空き地はマンションになり、
兆治の師匠の還暦の祝宴をした料亭は医療ビルになった。



人ももちろん。
原作の山口先生ご夫妻もその祝宴の客として出演されている。
他に「ロージナ」のマスター、
帽子デザイナーの関民先生、
原作のモデルである「文蔵」の女将さんも泉下の人となった。


『居酒屋兆治』を歩く
【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】
還暦祝いで旦那衆を悩殺した永島さんのダンス。奥に原作の山口先生


もちろんDVDはでている。
TSUTAYAにあるかどうかは知らない。
もし無かったとしたら店が間違っている。
自信を持って意見してやってください。
正義はあなたにある。


『居酒屋兆治』を歩く
【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】 桜の道を 自転車 で走る謙さん。


もちろん僕は持っている。
時々、閉店後のギャラリーで、
プロジェクターの大画面とサラウンドの大音響で楽しんでいる。


『居酒屋兆治』を歩く
【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】 古民家 前の道を行く「 国立市 のみなさん」

『居酒屋兆治』を歩く

【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】空き地で謙さんをボコボコにする 拓ボン


ゴールデンウィークは終わってしまったが、
入梅前の週末、文庫本片手に「居酒屋兆治 散歩 」などはいかがだろうか。
古い国立、新しい国立にきっと出会えることと思う。


『居酒屋兆治』を歩く
【ドラマ「 居酒屋兆治 」より】店の前で、謙さんに挨拶する 割烹 「なつめ」ご店主


ちなみに「兆治」のモデルの「文蔵」はすでにない。
加藤登紀子、桜田淳子が演じた女将さんが亡くなって、
惜しまれつつ店を閉じた。

「文蔵」のあとは「婆娑羅」という居酒屋となっている。
『居酒屋兆治』を歩く
「兆治」モデル「文蔵」あとの 「婆娑羅」


会社員だった「兆治」が10日間だけ修業をした
師匠の店「まつかわ」のモデルが国立駅前の「松っちゃん」。
その場所は計画道路「3―4―10号」の真上にある。
興味のある方は早めの訪店をお勧めしたい。
ちなみにこのお店、普段は男性オンリー。
女性は土曜日のみなのでご注意を。


『居酒屋兆治』を歩く
道路計画の真上に位置する「まっちゃん」


【追記】
初出時、この「文蔵」と「婆娑羅」について「無関係」と書きましたが、
密接な関係にある後継店とのご指摘をいただきました。
http://www10.plala.or.jp/basara/sub76.htm
関係者各位にお詫びして訂正させていただきます。
2014年5月26日 十松弘樹記







【著者紹介】
十松弘樹 ==とまつひろき。
JPIC認定読書アドバイザー。
「書評のメルマガ」書評委員。
出版取次大手トーハンに勤続すること29年。
「新刊ニュース」「月刊書店経営」編集担当、
「人文図書目録」「歴史書目録」「国語国文学図書目録」等
各目録刊行会事務局担当などを経て独立。

国立駅前で「 ギャラリービブリオ
http://www.gbiblio.jp/ を経営。
学校法人小百合学園(小百合幼稚園)評議員。
国立駅前在住三代目。
今年11年目、毎日更新のブログ

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