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・『きっびす』木佐悠弛


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2014年03月14日(金)
【連載】きっびす(6)木佐悠弛「春がくる」

[・『きっびす』木佐悠弛]
【連載】きっびす(6)木佐悠弛
【連載】きっびす(6)木佐悠弛



春がくる

立春はひと月以上もまえにきているのに、
街に春がきたような気がしない。
たぶん、この薄曇りの空と、
冬のなごりを感じさせる寒さのせいだろう。



この街に住む友人のこどもは生後二ヶ月をむかえたらしい。
せまい街なので風のたよりでさまざまな話が耳にとどく。



あんずさんは都心でも個展を開くことになったという。
イラストのほかに、工業製品のデザインも手がけるようになったと聞いた。



奥手なぼくは、まだ気持ちを彼女に打ち明けられていない。
彼女の作品が好きだとは簡単に言えるのに、
こころにあることばはなかなか出てきてくれない。
まだ花を咲かせない桜並木を歩きながら、
想いを頭のなかで文字に変換していく。
ライターのしごとをはじめてからすっかりこれが癖になってしまった。
想いをそのまま口にできたらどれほど楽だろうと思う。



そんなことを考えながら街を縦断していると、
神社まで歩いてきていた。
境内には梅の木が無数にある。
赤や白の花が咲いている。



枝に手をのばす。花と鼻を近づける。
ほんのりとあまく香った。



そういえば、
あんずはどういう香りだっただろう。
季節はいつごろだろう。
そしてまた、
あんずさんの顔を思いうかべている。



春がくるまえに言わなくちゃ。
ことばでちゃんと言わなくちゃ。



春は自分で咲かせるものだから。





<作者プロフィール>
木佐悠弛 (きさゆうし)
国立市在住
アーティスト、と名乗ってみたい、宇宙の流浪人。
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[ameblo]







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