伊藤次郎の中央線散歩(8)
【御茶ノ水】よみがえった「幻の駅」
今年(2016年)9月、開業3周年を迎える「マーチエキュート神田万世橋」
中央線にかつて存在した幻の駅、「万世橋駅」の遺構を活用し、個性的なレストランやショップが並ぶ空間です。
(関東大震災前の万世橋駅模型:マーチエキュート内展示)
万世橋駅は、中央線神田〜御茶ノ水間にあった駅。
元はここが中央線の始発駅で、大正のころまで、駅前は東京有数の繁華街として栄えましたが、徐々に客足が途絶え、駅は昭和18年(1943年)に営業休止となりました。
(2005年当時の旧万世橋駅プラットホーム:旧交通博物館屋上から筆者撮影)
駅の跡にあった「交通博物館」の移転・解体と前後して、眠っていた幻の駅の遺構が、いにしえの姿そのままで発見され、その一部が、現在の「マーチエキュート」に活用され、よみがえりました。
ここでぜひ紹介したいのが、旧プラットホームと、そこへ上がる二つの階段。
建設年にちなみ、それぞれ「1912階段」「1935階段」と名付けられ、駅が現役だった昭和初期の面影をそのまま伝える、貴重な遺構が残っています。
階段の壁からは、昭和18年当時のポスターが発見されましたが、戦時中の厳しい情勢を反映する「旅行時の注意心得」を伝えるものでした。
旧プラットホームは、展望デッキとカフェバーに変身。元がホームゆえに、間近を電車がすり抜ける様子を、食事をしながら楽しめます。
「まんせいばし」と刻まれたホーロー風看板が、ここに電車が停まっていた頃の記憶を呼び覚ますかのようです。
ガラス越しに、安全に電車を眺められます。持参した望遠レンズで、ちょっと「撮り鉄」のマネをしてみました。
(撮影は自由ですが、フラッシュ・三脚の使用はできません)
隣接する秋葉原の喧騒とは、全く趣を異にする、落ち着いた大人の空間。
レンガ橋下のひんやりとした空気は、昭和前期で時が止まったかのような錯覚も覚えます。
取材当日はあいにくの雨。
鳩たちがレンガの壁で、懸命に雨宿りをしていました。
《マーチエキュート神田万世橋へのアクセス》
御茶ノ水駅・聖橋口から徒歩6分
神田駅・秋葉原駅からも、ほぼ同じ時間でアクセスできます
詳しくはこちら
公式HP
http://www.maach-ecute.jp/
旧万世橋駅(東日本交通文化財団HP)
http://www.ejrcf.or.jp/mansei/
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◇WEBネーム 伊藤次郎
◇プロフィール
仙台出身。国分寺市の人情と自然に魅了され、2013年秋から2年間在住
その間、中央線沿線の街歩きと、まちづくり活動を満喫
現在は故郷の仙台に帰り、ソーシャルビジネスでの起業を模索中
沿線情報WEBマガジン 中央線ハッピースポット
http://chuosen.happyspot.jp/
https://www.facebook.com/chuosenhappyspot
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