「中央線、本と本屋の旅」（２）　　どむか

≪日常を旅する≫

2015年11月22・23日、「本がつなぐひととまち」をキャッチフレーズに、「国分寺ブックタウン・フェスティバル」が行われた。
受付に「日常を旅する」（けやき出版）が置いてあり、購入。本書は、三鷹から立川までのＪＲ高架化工事が行われた駅で配布されていたエリアマガジン「ののわ」に掲載された内容に新たな取材も加え一冊にまとめられたもの。
「ののわ」は2年間発行されていたが、その間、毎月途中で電車を降り入手した記憶がある。他のパンフレットとは一味違う、気になる冊子であったので、それが纏められて一冊になったのは嬉しい。
判型は当時のままA5横長。メインはお店紹介だが
「地元感が伝わる店」
「世代を問わず楽しめる店」
「くつろぎの時を提供する店」
「暮らしの道具がそろう店」
「つい長居してしまう店」
「五感が刺激される場所」
という感覚的な分類のために、ガイドブック臭がほとんどしない。お店を探す実用書ではなく、読み物として発見を伴いつつ読み進むことになる。

本屋は「長居する」場所に分類され、水中書店、PAPER WALL、まどそら堂、増田書店、ORION PAPYRUS、はてな倶楽部、国立本店、おばあさんの知恵袋、古本泡山、ONLY FREE PAPERなどが紹介されている。数店、行ったことのない店があるので、制覇せねばならない。
散策マップでは「太宰治のこころに触れる」というタイトルで水中書店今野氏が寄稿している。ちなみに、本書の帯のデザインは数種類ある、とのこと。

このブックタウン・フェスティバルでは「ブックマップ作り」が、エリアイベント的視点で面白かった。地図上の「本とかかわりのあるポイント」に「コメントを書き込んだ」旗を立てていく趣向。国分寺をブック・タウンとして表現している。
中央線には、「おに吉」（荻窪・西荻窪・吉祥寺）エリアなどディープなブック・タウンや「高円寺フェス」などがある。それらと伍していくには（別に伍していく必要はないともいえるが）、「ののわ」エリアは一つのカテゴリーとなりえる。
たとえば「ののわ」ブックフェスティバルのような、沿線広域連携でのブックフェスティバルは考えられないだろうか。
先日、武蔵野プレイスの「プレイス・フェスタ」のトークイベントに参加したが、登壇者は誠光社の堀部篤史さん（元恵文社一乗寺店・店長）と博報堂ケトルの嶋浩一郎さん。フロアの後ろの方で内沼晋太郎さんが立ち見で話を聴いている。そのような夢のような組み合わせのブック・イベントが武蔵境駅前でも実現している。
連携の中で国分寺と国立が、そして立川と八王子が参戦し、覇権を争う。三鷹は子供向けイベントで訴える。全国的に図書館業界をリードしていた日野の逆襲も始まる。快速の停まる駅の中で「乗降客のもっと少ない駅」の座は日野に奪われたとはいえ、西国分寺も黙ってはいないだろう、などなど沿線が連携して、特色を出しながら繰り広げられるブック・イベントの攻防を夢想してしまう。
少々「ののわ」の枠をはみ出てしまうかもしれないが…。誰か、実行に移して貰えないだろうか！


どむか （本屋さんウォッチャー）
中央線沿線在住
小・中・高校まで中央線沿線の学校に通う。
勤務先も、中央線沿線と言えなくもない。
本を読むより本屋さんに行くのが好き。
https://www.facebook.com/honyasanka



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けやき出版
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