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・『きっびす』木佐悠弛


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2014年05月14日(水)
【連載】WEB小説 きっびす(8)木佐悠弛「光の曲線」

[・『きっびす』木佐悠弛]
【連載】WEB小説 きっびす(8)木佐悠弛


光の曲線


葉と葉のあいだからうすい陽が射し込む。


わたしたちは緑道のなかを歩いている。
ささやかな風に触れ、葉がさらさらとわらう。
葉の影はそのたびに地面でゆれていた。



「あんずさん、あの小鳥はなんでしょうか」


となりの国仲立哉(くになかたつや)さんの視線の先に目をむける。
青みがかった黒の小柄な鳥が小枝にとまっている。



「あれはシジュウカラですね」


わたしたちは敬語を使うくせが抜けない。
まだすこし緊張している。
手のひらに汗をかいていないか気になってしまう。



シジュウカラは高らかに鳴いた。


「あの歌声とこの緑はとてもよく合いますね」
「ええ、ほんとうに」



小鳥の声と立哉さんのことばと、
この緑の世界が溶け合っているような気がした。



「あ、冷たい」と言って立哉さんは頬をゆびでなでた。
わたしはふたたび視線を上げる。



葉からポツリと雨がこぼれ落ちてきた。


「やむまで木の下に行きましょう」
立哉さんに手を引かれて移動する。


「空に青色がひろがっていたので傘を持ってきませんでした」
とわたしは伝える。
ぼくもです、と幹にもたれてかかる立哉さんも答えた。



こういう雨なら好きになれそうだな。
立哉さんはこの雨のようにポツリとつぶやいた。
わたしも、とこころのなかで言う。



やがて雨はあがった。
立哉さんのことばで立ち上がる。
歩きはじめてまもなく、緑の道を抜けた。



空の青がとびこんでくる。
そして。



雨上がりの贈り物が曲線を描いて空にうかんでいる。


汗が伝ってもかまわないと思いながら、
わたしはつよく手をにぎりかえす。
やがてあの光の曲線が消えてしまっても、
わたしのなかではいつまでも架けていたい。



わたしたちは同じほうを見ている。

これからも、ずっと。


木佐悠弛 ててごと



<作者プロフィール>
木佐悠弛 (きさゆうし)
国立市在住
アーティスト、と名乗ってみたい、宇宙の流浪人。
facebook フェイスブックページ

挿絵:かりん(ててごと)

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