〜 私が大学に入ったわけ (1) 〜
鉄腕アトムは
なんだかよくわからない
「エネルギー」で動いていました
どうやら「原子力」らしい
という話でしたが
「エネルギー」を入れるようすは
車にガソリンを入れるのと
ほとんど同じでした
ともあれ鉄腕アトムに夢中になって
これからのエネルギーは原子力だ
と何の疑いもなく思っていました
数学と理科が好きだった私は
原子力の開発に関わりたくなり
いろいろ調べてました
すぐに「核分裂はダメだ」
という結論になりました
核分裂の何がダメかと言うと
中性子をぶつけて普通より大きな原子核を割って
大きなエネルギーを出すの核分裂なのですが
その割れたものが「死の灰」だからです
普通のものを燃やせば
灰の成分はだいたいわかりますがが
「死の灰」はものすごくいろいろな種類があり
その一つ一つの毒性も物質としての特徴も違い
しかも煮ても焼いても数百年から数万年
ものによっては数億年も無害にならないのです
そんなものを処理する技術も理論もありませんから
一度作ってしまえば数万年以上もの間
とにかく閉じ込めておくしかありません
核分裂による原子炉を動かせば
一年でトン単位の死の灰が生まれます
「そんな危ないものが実用化するはずがない」
と思った私は核融合を目指すことにしました
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