まちかどゼミナール2012冬
「教育と社会のこれからを考える」
第1回
ゆとり教育と呼ばれるもの
を受けた感想です。
* * *
いわゆる「ゆとり教育」がどうだったのかということより
教育政策と学校のあり方について
いろいろと思いをめぐらせることができました
日本の学制は明治維新の流れの中で
富国強兵の土台作りのために
同じ言葉を使えることと西洋の知恵を
多くの日本人が自分のものにすることのために
すすめられたのものだろうと思っています
アジアの他の国々に比べて
日本の教育が上手くいったので
遅れてきた列強の一つになりえたのでしょう
第二次世界大戦の敗北と東西冷戦構造の中で
合州国のアジア政策を補完する国として
工業立国・貿易立国の方向で
所得倍増から経済大国への路線へと進むときにも
日本型の学校教育は
かなりうまくいったと言えるでしょう
東西冷戦の終わりによって
合州国の政策が日本経済の縮小へと変わったことにより
1990年代初めのバブル崩壊以来
日本の経済はもちろん
どのような国になっていくのか
というイメージを作ることができないまま
円高攻勢をうけ
ジリジリと後退してきた20年間だった
のではないでしょうか
「新学力観」が提起されたのが
1989年ですからバブル崩壊直前であり
「生きる力」と教科内容3割削減が1998年
その次の年に「分数ができない大学生」が出ましたから
いわゆる「ゆとり教育」も「脱・ゆとり教育」も
次世代や国のあり方といった
行く末を明らかにすることから出てきたものではなく
「いま目の前にある必要」から考え出された部分が
大きいのかもしれません。
普通の政策は10年で揺りもどすということですが
いわゆる「ゆとり教育」政策は
うんと短い生命しかもてなかったのではないでしょうか
それから10年あまりたって日本を襲ったのが
東日本大震災と福島第一原発爆発事故です
まだその評価は定まっていませんが
未曾有の原子力災害が進行中の今も
原子力推進政策が転換されるには至っていません
また経済事情とは裏腹の合州国重視の外交政策も変わらない中
古典的なナショナリズムが持ち上げられてきています
千年に一度とも言われる大震災だけでなく
人類にとっても初めての規模の原子力災害から
日本の国を立て直すためのイメージや
技術を作り上げていく人を育てていくことが
今日の日本の教育の課題ではないかと思います
だとすれば
「ゆとり」か「詰め込み」かの間を揺れ動くだけではない
「政策論議」が求められるでしょう
その前提としての「国づくり」のイメージを練り上げていくことが
今の大人の仕事ではないか考えています
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